気象予報士の航空気象 雪氷

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2009.03.02 (Mon)

着氷が航空機に及ぼす影響

着氷とは?その生成原因にて

 着雪、着氷の混合状態が発生するのは離陸前の地上滑走、待機中のほうです。理由は、以前コメント欄に掲載しましたが、再度UP

 飛行機は駐機場で防除氷液をまいて、雪氷をほぼ完全に排除し防御できます。 しかし、大雪の日は当然誘導路にも雪氷があり、飛行機はゆっくりゆっくりタクシーしなければいけません。
 そうすると、せっかくまいた防除氷液の効果が薄れ、翼面にはシャーベット状の雪が付着し始めます。その後、それが凍りつくことによって、著しく揚力を失い効力が増します。

 以上のことが、着雪と着氷の混合タイプと勝手に私が考えていることです。ということで、ほぼ着氷の部類に入ると考えています。

デアイシング・カー



着氷の影響は以下

①翼への着氷による揚力減少・抗力増加
②ピトー管凍結
③氷塊によるエンジン損傷
④キャプレター・アイシング
⑤氷塊落下による損害

おもいつくままに5点

①翼への着氷
 翼面、翼前縁に着氷が起こりますと、翼の形状がかわり、設計上必要な揚力が得られず、逆に抵抗力が増します。そのため、飛行機は失速したり、離陸中、浮揚せずオーバーランを起こしたりします。
 着氷による失速は、ただの失速より最悪です。ただの失速とはスピードが足りないだけなので、エンジンをふかすか一時的に降下すれば増速され回復します。しかし、着氷はエンジンをふかしても離陸中なら限界に近いことと抗力でなかなか増速されません。なにより、翼を氷でやられているので、舵が利かない、アンコトローラブルであることが致命的です。方向舵なども利かず、一回転して墜ちた事故も報告されています。

②ピトー管凍結
 飛行機にはピトー管などで、動圧、静圧を測り、高度と速度情報を得ています。その高度での気圧で地上の気圧差で高度を算出し、その高度と真正面から受ける圧力(自転車を転がしていると正面から感じる圧力)から速度を算出しています。それぞれ、前者を静圧、後者を動圧といいます。
 動圧管、静圧孔が凍りつくと、高度、速度の情報が得られなくなり、飛行機にとって盲目で高速道路を運転するようなものです。適切なエンジン推力、適切な浮揚速度を得られず、離陸停止ならよくやった、オーバーラン、失速による墜落と最悪な状況と隣り合わせになってしまいます。

ピトー管A380
      ピトー管 A380(うぃきより)


③氷塊によるエンジン損壊
 氷塊がエンジン内に吸い込まれることにより、エンジンが破壊される可能性も否定できません。

④キャブレター・アイシング
 ピストンエンジンによくついている気化器、キャブレター。燃料噴射型が主流になる前の自動車でも当たり前のように装備されていました。詳細はWIKIにまかせます。流入出する空気内の水蒸気が凝結して流入空気量が減り、出力低下、エンジン停止に陥る可能性があります。原因は、ベンチュリー効果による冷却は3度程度、それよりも液体燃料の気化による冷却が30度程度で、こちらのほうが主原因です。夏場でも起こるのでやっかいです。
 ベンチュリ (ウィキペディアに飛びます。)
ベンチュリ


⑤氷塊落下による損害
 たまに、空から降ってきた物体で損害が発生したとき、航空機との因果関係について、なんだかんだとニュースになります。長時間、高高度で飛行した冷えた航空機が、目的地に進入降下中に雲中などで氷結し、フラップや着陸装置(ギア:いわゆる車輪)を出すときに、氷塊を落下させているようです。屋根を突き破るなど、家屋や車などに損害を与えています。人に当たったら、軽症ではすまなさそうです。
 成田空港でATIS(飛行場情報放送業務)を無線で聞いていると、南から進入する際、陸地の上を飛ぶ前に着陸装置を出しなさいという指示があります。



 さて、ニューヨークのQ400の事故の主原因は?

 METARを取り損ない、続報でしかソースを集められないのです。残念です。もう、国内の事故ではないのでほとんどニュースを見かけなくなりまた。うーーーむ。

 次回は、「過去の航空事故」です。


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2009.02.26 (Thu)

着氷とは?その生成原因

 水蒸気や過冷却水滴が物体にぶつかった瞬間に凍りついてできた氷、またはその現象を”着氷”と言います。

 着雪が航空機に関係ないと昨日書きましたが、まったくないというわけではありません。

 高速飛行中の物体に着雪はほぼ起きにくく、地上待機中に積もった雪などはお湯や除氷液で剥ぎ取り、防氷液で摩擦が軽減された翼に雪はずり落ちやすいという理由から着雪しにくいのです。

 しかし、着氷との混合した状態では、話が別です。考え方は着氷に分けてもいいと考えますので、着雪が航空機に影響はまずないと考えていいと判断しています。

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着氷の特集は、
①着氷とは?その生成原因
②着氷が航空機に及ぼす影響
③過去の航空事故

以上の3部でUPする予定です。


①着氷とは?その生成原因

 着氷とは、文字通り”凍りつく 氷着く”ということです。気象用語の過冷却水滴(冷やされすぎた水滴)が、飛行する物体にぶつかると凍りつくことです。
 過去の理科の実験で過冷却水をシャーレーの上にこぼすと、氷筍のような氷の塔ができる実験をしたこはありませんか?

YOUTUBEで見つけましたので、Linkします。
過冷却水の実験

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 冷やされた液体はすぐには凍らず、何かの衝撃があった際に一気に状態変化をすることは化学を勉強するとわかります。
 細かい話がわからなくても、一見は百聞に如かずです。「過冷却水」で検索エンジンにかければ、実験方法や動画が見られるでしょう。

 着氷が起こりやすい温度は-3~-10度くらいだそうです。過冷却水滴、いくら冷やしすぎといっても-10度以下では氷になってしまいやすく、量も少なくっていくようです。

着氷が発生しやすい空域
①対流性の雲、Cu、Cb
着氷 対流雲


②前線性の雲域
着氷 前線雲




着氷タイプ
①霜 (frost)
 地上待機中の飛行機に発生しやすい。飛行機の翼には燃料が入っていて、それが空中で冷やされ、地上で待機中に霜がつく例が多い。霜は砕けやすく発生場所がごく一部で、翼の形状を変えるまではいかないようで、それほど危険ではない。

②樹氷(rime ice)
 空気の泡を含み白い氷で、樹氷や凍った滝の氷に近い。もろく表面がざらざらしている。もろいので防除氷装置で取り去りやすい。

③雨氷(clear ice glaze)
 硬くて光沢のある氷で、冷蔵庫の中でできる氷がこれに近い。大量の過冷却水滴があると、数分で成長する。硬く取り去りにくく、翼の形状を変化させるため非常に危険。

着氷のタイプ


 夏場、高空で過冷却水滴が発生しやすい温度、夏ではかなり高い空度を飛行し、着氷に遭遇した事例が報告されていますが、もともと高空には水分の絶対量が少ないことと、降下すればなんとかなるという位置エネルギーの余裕と、降下すれば気温が上昇し着氷が取り去られやすいことから、おおきな事故は起きていないようです。

 冬場、日本海の雪雲や前線性の雲中を10000-15000ftあたりで飛行する際、着氷が起こっている事例が多数報告されています。
 地上気温が0-5度、1000ftおよそ-2度なので、2000ft-8000ftで危険な温度、-3~-10度にあたります。低空での着氷は致命的な場合が起こりえます。

 ニューヨークのQ400の事故も着氷なのかと考える理由ですね。


次回は、「着氷が航空機に及ぼす影響」です。



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16:08  |  雪氷  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2009.02.24 (Tue)

着雪

ノースウエスト乱気流事故の続報がなくなりました。事故調の見解待ちでしょうか。

 あっけないものですね。こうして、人は同じ過ちを繰り返していくのです。


 今日からは、頓挫していた着氷とMETAR・TAFなどの電文解読の特集を組んでいきます。

着氷?着雪?

着氷 スケート
      これも”着氷”

 一般の天気予報で聞くのは「着雪」です。「着雪注意報」なんて耳にしますからね。海上注意報の中には「着氷注意報」というのもあるのですが、あまり耳にしません。

 着氷と着雪、じつは違うんです。

 恥ずかしながら、よくわかっていませんでした。

 着雪 は降っている雪がくっつくこと、
 着氷 は過冷却水滴、冷やされすぎた水分が物体の表面に凍りつくことです。

 あるものがくっつくのか、ないものがくっつくのかの違いと、その結果、引き起こす要因も違います。



着雪

着雪

 航空機への影響は少ないです。なぜなら、吹き飛ばされるからです。着雪は雪が物体に付着する現象で、湿った雪だと表面張力の効果で起こりやすいようです。走行中の自動車や列車の車体に付着したり、送電線や電話線に付着したり、電線への付着は断線や鉄塔崩壊を招く恐れがあるため、「電線着雪」という言葉もあります。

 電線着雪は、時に電線周り直径30cmを超えることもあるそうです。

 湿った雪(すなわち0-5℃あたりの気温での雪)ほど、着雪が起きやすいのですが、0度以下の乾いた雪でも起こることがあります。

 車に積もった雪を見ますとよくわかりますが、雪はガラスや金属には付着しやすく、ナイロンやポリエチレンなどの衣服には付着しにくいそうです。

 また、着雪注意報は各気象管区によって若干異なりますが、降雪の強度、降雪の深度、気温などで決まり、着雪が著しく、通信線や送電線などに害を及ぼす予報がされると発表されます。

 次回は「着氷」、大学で学んだ力学を交えてUPしたいと考えています。





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