気象予報士の航空気象 エールフランス乱気流

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2009.03.06 (Fri)

エールフランス乱気流

 昨日の午前8時半ごろ、エールフランスのボーイング777-200型機が新潟上空で乱気流に入り、乗員が骨折の重傷を負いました。

yahooのニュースに飛びます。

 ニュースによれば、新潟の上空に前線があったと報道していますが、???地上天気図にはそんなものありません。
 午前9時の高層天気図からも強風軸がありますが、寒冷渦があるわけでもなく、リッジ(気圧の尾根)があるわけでもなく。。。


ASAS05MAR00Z.jpg

5日午前9時の地上天気図
AUPQ05MAR00Z.jpg
5日午前9時の300,500hpa高層天気図


いかんいかん、航空気象を勉強しているのに地上ばかりに目が行っては。。。

午前6時を予想した悪天予想図 昨日紹介したFBJPとFXJP112を表示します。
fbjp紹介
午前6時有効のFBJP

FXJP04MAR21Z.jpg
午前6時を予想した断面図 FXJP

AXJP140
午前9時解析の断面図 AXJP


 新潟上空には30000ft辺りに140ノットぐらいのジェットが走っています。ジェット軸に対し揺れる場所は、航空気象においてジェット軸の上部と下部になります。赤く囲んだ部分がそれにあたります。

 この部分では、渦が常時発生しています。その渦の中に入ると揺れる可能性がありますが、小さいものです。大気中に発生する渦にはさまざまな大きさがあります。ある特定の大きさが航空機のおおきさに合致すると、強い揺れになります。

 例えると、小型漁船の後にできる波・航跡に大型タンカーが通っても何の影響もありません。逆に大型タンカーの後に漁船が続けばかなり危険です。しかし、大型タンカーの航跡のスケールに対し漁船のスケールを比べると、明らかに大きさが違うため目視でわかります。

 これは、気象でもいえることで、航空機が確実に揺れるとわかるような大きなスケール大気現象の場合、必ず天気図や目視などで予見できます。先に述べた、上空の低圧部:寒冷渦やジェット軸の合流部分などがあたります。


 ジェット軸の下部が揺れるかもしれないことは、航空気象の中では常識ですが、あくまで可能性の話。必ず揺れるのであれば、真夏以外偏西風がビュービュー吹いている日本の上空では、毎回シートベルト常時着用、ジェットーコースターのようなフライトを体験することになります。

 どこまでエールフランスのパイロットと気象の専門家が日本の気象の特徴をつかんでいたかはわかりませんが、揺れる可能性があった空域を通過し、けが人を出してしまったことは責任を取らなければなりません。

 低確率での揺れ、乗客へのサービスの間に考え、決断したことがこのようなことになり、責任を取らねばならぬ関係者はたいへんな仕事だと感じました。私の場合、現象が起きてから原因を羅列して責任もなくこのような文章を書いているわけですが、自分自身がこの揺れを予測できていたかどうかは正直わかりません。



それだけ、航空気象は難しい。。。



 さて、オランダ、スキポール空港近郊で墜落したトルコ航空ですが、続報が入りました。

Yahooのニュースに飛びます。

 電波高度計の故障、実際700メートルなのに0メートルを指していて自動操縦が着陸態勢にはいり減速して失速して墜落したという見解が出ました。記事には、霧が出ていたといいますが、霧は出ていません。低い雲が垂れ込めていただけです。

 事故発生時刻、日本時間午後6時40分は、0940Zのことで、そのあたりのEHAM すなわちスキポール空港のMETARの列挙します。

EHAM 251025Z 22011KT 3500 -DZ BR OVC007 05/04 Q1027 TEMPO 2500
EHAM 250955Z 21010KT 4500 BR BKN007 OVC008 05/04 Q1027 TEMPO 2500
EHAM 250925Z 20010KT 4500 BR SCT007 BKN008 OVC010 04/03 Q1027 TEMPO 2500
EHAM 250855Z 20009KT 4000 BR FEW006 BKN008 OVC011 04/03 Q1027 TEMPO 2500


 主原因は気象ではないので、これ以上の推測はやめます。専門ではない推測は誤解でしかありませんので、今回でトルコ航空の件はおしまいにします。



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